※この記事は、2023年4月27日にTwitterに投稿したスレッド(連ツイ)の内容を取りまとめ、加筆修正したものです。
オックスフォード大学出版局の英語辞典『Oxford Dictionary of English(ODE)』や、その米語版の『New Oxford American Dictionary(NOAD)』は、以前は同社自身が運営する無料のオンライン版があったのですが、今は有料化されてしまいました。
しかし、Googleの「define」検索を使えば、ODEとほぼ同等の辞書コンテンツを引き続き無料で検索できるようです。さらに、検索の呼び出し方をマクロ等で工夫すれば、他のオンライン辞書と似た使い勝手で検索できることが分かりましたので、方法をご紹介します。
※本記事で取り上げるのは『Oxford Dictionary of English(ODE)』です。『Oxford English Dictionary(OED)』ではありませんので念のため。
Googleのdefine検索の辞書はおそらくODE
Googleのdefine検索とは、「define:語句」という形式で語義や意味を検索できる機能です。Googleの英語版を開いて、英単語をこの形式で検索すると、検索結果の先頭にOxford提供の英英辞書の語義が表示されます。
たとえば、「define:provide」と検索すると、このような検索結果ページが開きます。デフォルトでは語義が2つくらいしか出てきませんが、「More definitions」というボタンをクリックすると、すべての語義を確認できます。
この辞書コンテンツは出典が「Oxford Languages」としか書いてないのですが、ODEやNOADと見比べてみると、たいていは語義の記述や用例が一致しています。たとえば下の画像は、NOAD第3版(紙版)の「provide」の項です。これを上述の「define:provide」の検索結果と見比べてみると、項目立ての構成や語義の記述がまったく同じで、用例も1つを除いて同じなのが分かります。
※細かく見比べると、紙版に出ている [with obj.] や (provide someone with) といった語法・コロケーション関連の情報が、define検索版ではすっぽり抜けているのが残念。一方でdefine検索版は、紙版にない用例が1つ加わっています(2番の語義の下位項目の2つ目)。また、類語・反意語や、使用量の推移など、紙版にはない情報も出ています。
ほかにもいくつかの単語を比べてみたところ、どれも内容はほぼ同じでした。したがって、Googleのdefine検索で出てくる語義は、ODE / NOADが土台になっていると見てよさそうです。(あくまで推測の話ですので、もし違っていたらごめんなさい)。
define検索をオンライン辞書風に開く方法
ただし、このdefine検索を翻訳や英語学習で活用するには、検索方法に少し工夫が必要です。先ほども述べたとおり、単純に「define:語句」と検索するだけでは語義の一部しか表示されず、毎回ボタンをクリックする手間がかかるからです。
ボタンなしで語義全体を一発で表示するには、Webブラウザに送り込むURLをマクロ等で工夫する必要があります。具体的には、下記のURLの「★★★」の部分に検索語句を埋め込んで開くようにマクロ類を組んでみてください。
https://www.google.co.jp/search?hl=en&gl=uk&expnd=1&q=define%3a★★★
たとえばAHK(AutoHotkey)なら、クリップボードに目的の単語が入った状態で次のコードを実行するようにスクリプトを組んでみてください。
Run, % "https://www.google.co.jp/search?hl=en&gl=uk&expnd=1&q=define%3a" . Clipboard
またAHK版かんざしをお使いの方は、どこかのDictGrpに次のようなコードを組み込んでみてください。
WebOpen(0, "https://www.google.co.jp/search?hl=en&gl=uk&expnd=1&q=define%3a%s")
こうすれば、語義全体のページが直接開き、他のオンライン辞書と似た感覚で使えると思います。たとえば、上記の形式のURLを使って「provide」を検索すると、こちらのページを一発で開くことができます。ボタンが不要で便利です。
※上記のURLで表示される辞書コンテンツはイギリス英語版(ODE?)です。URLの中の「uk」という部分を「us」に変えると米語版(NOAD?)になります。
以上、ODEらしき辞書コンテンツを引き続き無料でオンライン辞書風に検索する方法のご紹介でした。個人的にODEは結構お気に入りなので、こうして利用できるのはうれしいことです。
あとは、Google上での無料公開が続いてくれればいいのですが…。Oxford自身のサイトではODEを有料で提供していることを考えると、どこかの時点で公開終了となる可能性も高そうな気はします。